直線と曲線が絶妙なバランスで画面を構成し、青とアクセントの朱色がリズムを奏でるように響き合っている。計算し尽くされたようでいて、筆を思うがままに走らせたポップな遊びゴコロも伝わってくる。

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Sara Morison作「Waiting for you(君を待ってる)」:コールドワックス、油絵の具、ボード

この作品の描き手Sara Morisonさんは、モントリオールで生まれ育ち、1991年にSimon Fraser Universityにて哲学の博士号を取得するためにバンクーバーにやって来た。数年間の研究生活を経て、2003年に絵画を学び始め、やがてその道を進むことを志す。抽象画を中心とする彼女の作品のインスピレーションは、旅先から生まれる。ここカナダのBC 州や東部に位置する島ニューファウンドランド、バミューダ、フランス、イタリアなどの様々な風景や色合いが作品に映し出される。

透明にも不透明にもなる用途の可能性からアクリルを好んで用いるSaraさん。彼女の作品は、主にアクセントや境目を作る要素としてあちらこちらに交差する”直線”と、丸みを持った花瓶やそうっと優しく包み込むような抱擁を表現した”円”で構成される。またSaraさんが最近力を入れているのは、コールドワックスと油絵の具の2種を用いる技法で描くこと。この表現技法によって、ワックスのバターのようなしっとり感と油絵の具の流動性ある質感が合わさることで、スクラッピングするような更に重ねた層をスクラッチするような表現が可能になる。

「絵画は視覚的な会話、感覚のダンス、瞬間、感情、経験です。色彩そのものや曖昧で不完全な鮮やかさが好き」というSaraさん。自然に生まれる痕跡や予期もせずできた透明なウオッシュが不透明な部分と混ざり合い、その描く行程はまるでミステリーを紐解くようなものだそう。私達の人生も実はそんな感じのように思える。こうしようかなとかこうなれば良いとビジョンは描いてみるものの、その通りに行くとは限らない。偶然に起きることを怖れずにプラスに味わっていけば、もっと楽しんで進んで行けるんだろうな。

Mayumiから一言:)

ご報告遅くなりましたが、春の訪れを感じ始める3月最初の週末、以前このアートブログでも紹介した『North Shore Art Crawl』に行ってきました。今回のアーティストSaraさんや Lori Bagnérèsさん、Lynne Greenさん、Sandrine Pelissierさんのアトリエを訪問。スタジオ巡りの醍醐味は、やはりアーティスト本人に出会い、生で作品を鑑賞しながら色々と話しを聞けること。それに加えて、アトリエの雰囲気や使っている道具、絵の具の匂いなど現場の空気を味わえ「ああ〜なるほど。ここからこの作品が生まれたんだ」っとそのアートに向けられる熱い思い肌で感じられ、同じ作り手としてとても刺激になりました!みなさんにも、色んなところで直にアートに触れるワクワク感をぜひ味わってもらいたいなという気持ちが高まった1日でした。

Sara Morison

http://www.saramorison.com/

About The Author

Mayumi Kobayashi
Art Curator

日本では美術教師、陶芸教室講師として勤務。2010年春よりバンクーバーに在住、ローカル誌の編集者として活動。現在はカナダ×日本のミックス娘二人の母業に邁進しつつ、ニッティングを中心にプチ制作を楽しんでいる。アートにときめくココロと持ち前のアンテナを活かして、様々な角度から常にアートと関わる生活を満喫中

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