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©Seika Photo  Gallery

 

Cambie street から Broadwayを超えると橋が見える。夜に君臨するBC Placeの王冠。その奥に、Harbour Centreの展望台が、バースデーケーキみたいに浮かんでいる。今夜は夏至の満月らしいけど、雲に隠れて今は見えない。渋滞は何ブロックも続いている。ブレーキランプで繋がれた可哀想な車たち。歩道を歩くわたしたちさえ、赤い河に囚われて動けない気分だ。ここに来た頃は、何もかも新鮮だった。ファーストフードのネオン。通りをゆく人のタトゥー。街の向こうにそびえる山、山、山。雨のにおい、光。目から、肌から、染み込んで、そしてある時、何も感じなくなった。いつから? 信号が、いっせいに青に変わった。「話があるんだ」。手をつないだまま、わたしは言った。15センチ上からわたしを見つめるこの犬のような目を、愛していないわけがない。でも愛の意味など知らないわたしは、それを見つけるためにここからまた、動かなきゃいけない。月が覗いた。橋を渡り終える頃にはきっと、この街に来た理由を思い出せそうな気がした。

About The Author

Star☆tS 編集長 - 言葉の魔術師

兵庫県明石市生まれ。言葉のお仕事師。夢見がちなこども時代、激音と妄想まみれな思春期、販売・事務職など迷走OL時代を経て、大失恋をきっかけに晴れてコピーライターに。2007年、サンタモニカへ移住。2010年、バンクーバーへ移住。ブランディング、コピーライティング、インタビュー記事執筆などの他、絵本、小説、エッセイなど、アーティストとコラボした作品も創作中。最近ぐっときた言葉は「愛は光の速度の二乗」。 カナダ留学エージェンシー カウンセラー

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