バンクーバーで開かれた道、塞がれた道、そして本当の道へ

バンクーバーでは名の知れたローフードレストランでの仕事も決まり、順風満帆。

店にあるすべてのメニューを、自信を持って美味しいと思える。そんな料理を作って出し、

お客さんが喜んでくれるのが何よりもうれしかった。

「ここでは100%、自分でいられる!」。

そう思えることが、心地よかった。

 

理想の職場で働きながらも、「本気で詩と取り組もう」と決めたのは2012年の暮れのこと。

その頃出逢った絵描きの友人の作品の凄まじさ、そして自らの才能と真剣に向き合って生きる姿に触発されたのがきっかけだった。

2013年2月には朗読ユニット『ポエムドロイズオンリー』を結成。

女性二人が日本語と英語で詩を朗読し、その狭間で自らパフォーマンスを演じるというスタイルは話題を集めた。

さらに『ポエムナイト』と銘打ったイベントは、ビーガン料理を提供しながら詩の朗読をし、

観客と生の意見を交わし合える貴重な場となった。

 

そんな中、突然、勤めていたレストランの閉店が決まった。

ショックだった。でも、年の暮れに胸に刻んだ決意を思い出した。

「そうだ、この降って湧いた時間を有効活用して、100%詩と向き合おう」。

ずっとやりたかったことに全身全霊で自分を注ぎ込む環境が、思いがけず、目の前にある。

道を塞がれたことで、本当に行くべき道がわかった瞬間だった。

 

世界中を旅してきたこと、料理と、人と、命と向き合ってきたこと。

言葉と戯れ、言葉を生み出してきたこと。そのすべてが無駄なく、今ここにつながっている。

生きることの最中で出逢う風景、思考の螺旋が紡ぐ永遠の断片。

自己という名の宇宙の中で、チカチカと光る欠片たちが縦糸となり横糸となり、紡がれていく。

そしてそれを読むひと、一人一人の糸が織り込まれて、そのタペストリーは完成する。

題名はまだない。しかし物語はもう、始まっている。

 

次回へ続く... 前回のストーリーを読む...

About The Author

Star☆tS 編集長 - 言葉の魔術師

兵庫県明石市生まれ。言葉のお仕事師。夢見がちなこども時代、激音と妄想まみれな思春期、販売・事務職など迷走OL時代を経て、大失恋をきっかけに晴れてコピーライターに。2007年、サンタモニカへ移住。2010年、バンクーバーへ移住。ブランディング、コピーライティング、インタビュー記事執筆などの他、絵本、小説、エッセイなど、アーティストとコラボした作品も創作中。最近ぐっときた言葉は「愛は光の速度の二乗」。 カナダ留学エージェンシー カウンセラー

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